2007年02月18日

青いセカイ[SIDE-B]

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恋だとかなんだとか
恋愛ってもんは
ほんの些細なこと、小さな事で喜ぶことができる。

僕は洛陽の西の門の下じゃないけど、境内でぼんやり佇みながらそんなことを考えていた。


なんでも出来た青春時代。
あの頃は羞恥心なんてものは無く。ただ、馬鹿をやっていた。

周囲から見れば“幼い”の一言で片付けられる、精神的に向上のない青年だったと記憶している。

僕は常に西野と柳と桐田の三人と行動を共にしていた。

知能班の西野
調停役の柳
特攻の桐田

今思うと最後の一人の役回りがおかしいような気がするのだが、気にしてはいけない。

その中でも西野は少し皆とは違った。
西野は僕達と違い頭が良かったのだ。
その分常人では考えつかないことを良く発言、提案していた。

クラスメイトの机の中に玩具ながら精巧に作られた海洋堂の蛇を入れて驚かせたり。

学校宛てに怪文書を送り休校にしたり。

スカート捲りとか古過ぎて逆に時代の最先端なことやったりと。

多分、あの頃の僕達はナウかった。
(大抵僕達は西野の案に賛成して共に行なった。)


何故、そんなことを言うのか。何故、そんなことをするのか・・・いつも僕は西野という人間が不思議で仕方なかった。

いつか、そのような考えは何処の泉から沸くのか聞いてみようと思っていたが



もう二度とわからない。


(トリビアの泉って言ったら殴ってただろうけど。)

どうして分からないと言うと彼はもうこの世に居ないのだ・・・。

今日はその西野の葬式だ。

何処にでもあるようなよくある交通事故だったそうだ。
歩道を歩いていたところに飲酒運転の車(リンカーン)が突っ込んだ。

西野は即死だったらしい。

運転手は当然無傷だ。(流石リンカーン)

なんだか、やりきれない気持ちになってしまう。


「よう」

突然の呼び声に驚いて振り返るとそこには西野と一緒に馬鹿をした柳と桐田が居た。

「久しぶりだね」

僕は笑顔で答えた。
4年という人生では短い時間会わなかったが二人共昔のままなので心の何処かで安堵していた。


「突然だよな・・・全く」
と、柳が哀愁をおびた声でポツりと呟いく。

そうだね、と僕はうつ向きながら答えた。


まさか、こんなに早く死ぬなんて思いもしなかった。
それは当然西野も思っていたことだろう。


ふと、
先ほどから言葉を発さない桐田を眺めると、彼は声を殺して泣いていた。

僕は、
ポン
と桐田の肩に手を置く。


それがスイッチになったのだろうか、桐田は嗚咽を漏らし始めた。


・・・皆悲しいのだ。

男だらけの青春時代を共に過ごした仲間が死んだのだ。
ただのクラスメイトが死んだのとは訳が違った。


僕は吸っていたHOPEを足で揉み消した。

さっき間違えて買ったのだが、不味い。
だが、同時にこの何とも言えぬ哀しみが煙草を不味くしたのかもしれないな。と思いながら僕は二人のしょぼくれた野郎の肩を同時に叩く。

「なぁ、呑みに行かないかい?」


二人は無言で頷く。


焼香は済まし、一通り葬式の儀式は終わっているので後は自由。

なんとなく此処に居たくないと言う気持ちが僕の心を占めていた。そして、僕達は呑みに行くため叡安寺を後にして最寄り駅付近の街へ向かうことにした。
街に着くやいなや普段は気にならないありきたりな街のネオンに何故か苛立ちを覚えながら、僕達はあび屋と言う居酒屋に入ることを決めた。

入るなり

「いらっしゃいませ!」

と言う活気溢れる店員の声が店中からし、僕達は圧倒された。

この店は出来る!そう思い僕は唾を飲のむ。店を見渡すと客はそれなりに居るため繁盛しているようだ。

そんなことを考えていると、案内の女性店員に導かれ席に着く。
戻ろうとする店員に日本人のとりあえずビールと言う精神からサッポロ黒ラベルを3つ注文する。


だが、席に座ったものの僕達の席だけ無言が空間を支配する。
・・・会話をきり出せない重い空気。

しかし、それも運ばれてきた酒がそれをぶち壊す。
有難うサッポロ黒ラベル。そんなことを思いながら口に含む。


始めに口を開いたのは柳だった。
次第に桐田も口を開きやがて話題は西野の話になる。

「あいつ園田と付き合ってたよな?」

と言う桐田の発言で思いだす。
あぁ、そういえば西野の野郎僕がほんのり恋心を寄せていた園田真由美さんと付き合ってたんだな・・・。
Fuck!と心でシャウトした。いや、高嶺の花なのは分かってたけどさ・・・。
当時、園田は学校でも男子の糞野郎共からも狂信者が居るくらいの人間だった。それを、身近な西野が手にいれたと知った時は藁人形を作ったこともあった。

うん、今では良い思い出。

心を落ち着かせると僕はある疑問にぶち当たる。

そういえば今日の葬式に園田さんは来ていたっけ?

「へぃ、田酒お待ちぃ!」

思考を両断する発言。

いやっほぉぉぉ田酒ぅぅぅぅ。先程、メニューを見たら見付けたのでつい頼んでしまった。
やはり、この店は出来る!と再確認させられた。

「なぁ、聞いてるのか?」
柳が真剣な顔で言う。

嘘をつく必要はない。「ぁ、わりぃ。聞いてなかったからもう一度言ってくれ」

桐田がおいおいと言う顔をしていたが酔っていると言うことにしてスルーする。

「園田行方不明らしいんだ」

は?
何故?どうして?そんな疑問が僕を駆け巡る。

「いや、俺も詳しくは知らないんだが西野が死ぬ前日から行方不明らしい。それで確か置き手紙みたいのがあったらしくてな、『夏が動く・・・』やらなんやら、良く憶えてねぇんだけどな」

憶えてねぇのかよ、と柳が突っ込んでいたが俺はそれどころでは無かった。

嗚呼、なんてこった。


誰かが言っていた。

『世界は夏野川家が表で動かしている。まぁ、俺から言えば夏野川は裏に分類してもいいんだがな』

夏野川なんて名前は有名ではあるが一般市民には全く縁のないもの。実質なにしてんのか全く分からない有名無実な、そんなのが世界を動かす。一般市民は気付かないまま既に見えない力に踊らされているのかもしれない。
見える世界が全てでは無い。そんなことはとうの昔から知っている。

俺はその世界から逃げた筈だった。

いや、踏み入れたのが間違いだった。

『はじめまして私の名前は―――』

聞いてねーよ、貴様の名前なんて。

『貴方は夏野川なんかに近付くべきではないんです』

しらねーよ

『金のためですか?くだらない下等生物なんですね、貴方は』

焦燥のメロディが聞こえる。僕は何がしたかったんだろう。

『何故、夏野川なんです。転職なら私が良いところを見付けますから』

僕にもわかんねーんだよ。


「そろそろ出るかぁ」その柳の一言で僕は現実に引き戻された。

僕達は酔った体をおぼつかない動きで立ち上がらせる。

やばい・・・大分酔ってる。

そんなことを思いながら僕達は会計を済ました。



扉を開け店から出る。

ふわり、ふわり、
雪が降っていた。




『時間はまだ多少残ってます。じっくり考えてみて下さい』


だからなんで僕なんだよ。
僕は何処にでもいる一般人なんだ。エキストラなんだ。

本当に、偶然だった。ヤツとの出会いは道端に落ちていたボールを拾うような、気まぐれに支配された偶然だった。

『俺の名前は■■■■■。力を貸せ』

あの時、確かに希望が見えた。こいつならと思った。ガラにもなく夢を見た。

結局離反した。

僕は裏切り者。



だから、それ以来世界に関わらない事にした。



筈だった。


―――




じゃあな、また会おう。そんなことを言い合い、僕達は解散した。

僕は急いで携帯を取り出し彼に電話する。

2コールで反応があった。


「やぁ、久しぶり」

『お久しぶりです、あなたから電話がくるのは想定していませんでした。如何なさいました?』

本題。もうわかった。気付いた。あとは回答を得るのみ。さぁ、応えろ。


「なぁ、綴る者。お前の配役が正しいなら俺は本当に必要なのか?」

俺はあえて、名前ではなく役名で尋ねた。
それに倣い彼も配役で俺を呼ぶ。

『あなたの配役が鍵なのは確定しているんです。これは依頼者からの指名です。正直、鍵の候補は他に居たんですがね』

なんだと?指名ってことは・・・僕を知っている奴?

『俺としましても、今回の鍵は大した役目はないのでどう動いて頂いて構いません。物語(tale)で縛るつもりは毛頭無いのでご自由に』

嗚呼、そういうこと。もう動いてたのか、歯車は。

「じゃあ、僕は自由に動いて良いんだな?」
『えぇ、どうぞ。俺は口出しはしません』

何故か口調は変わってないのに僕は綴る者が笑みを浮かべているように感じた。

まぁ、良いや。

僕は綴る者に礼を言い通話を終了する。

切る直前彼は云った。
『気付いてるんじゃないんですか?』


歯車は動き出す。



もう、終焉まで停止することは永久に無い。



さて、どうしようか。


白い、真っ白な雪が頬を撫でる。




―――Fin
posted by 沖[旧名:→蒼葵遊馬] at 23:58 | Comment(0) | TrackBack(0) | ネタ帳

青いセカイ[SIDE-A]



恋だとかなんだとか
恋愛ってもんは
ほんの些細なこと、小さな事で喜ぶことができる。

僕は洛陽の西の門の下じゃないけど、境内でぼんやり佇みながらそんなことを考えていた。


なんでも出来た青春時代。
あの頃は羞恥心なんてものは無く。ただ、馬鹿をやっていた。

周囲から見れば“幼い”の一言で片付けられる、精神的に向上のない青年だったと記憶している。

僕は常に西野と柳と桐田の三人と行動を共にしていた。

知能班の西野
調停役の柳
特攻の桐田

今思うと最後の一人の役回りがおかしいような気がするのだが、気にしてはいけない。

その中でも西野は少し皆とは違った。
西野は僕達と違い頭が良かったのだ。
その分常人では考えつかないことを良く発言、提案していた。

クラスメイトの机の中に玩具ながら精巧に作られた海洋堂の蛇を入れて驚かせたり。

学校宛てに怪文書を送り休校にしたり。

ハッテン場に突撃して危うく掘られそうになったり。

スカート捲りとか古過ぎて逆に時代の最先端なことやったりと。

多分、あの頃の僕達はナウかった。
(大抵僕達は西野の案に賛成して共に行なった。)


何故、そんなことを言うのか。何故、そんなことをするのか・・・いつも僕は西野という人間が不思議で仕方なかった。

いつか、そのような考えは何処の泉から沸くのか聞いてみようと思っていたが



もう二度とわからない。


(トリビアの泉って言ったら殴ってただろうけど。)

どうして分からないと言うと彼はもうこの世に居ないのだ・・・。

今日はその西野の葬式だ。

何処にでもあるようなよくある交通事故だったそうだ。
歩道を歩いていたところに飲酒運転の車(アルファロメオ)が突っ込んだ。

西野は即死だったらしい。

運転手は当然無傷だ。(流石アルファロメオ)

なんだか、やりきれない気持ちになってしまう。


「よう」

突然の呼び声に驚いて振り返るとそこには西野と一緒に馬鹿をした柳と桐田が居た。

「久しぶりだね」

僕は笑顔で答えた。
4年という人生では短い時間会わなかったが二人共昔のままなので心の何処かで安堵していた。


「突然だよな・・・全く」
と、柳が哀愁をおびた声でポツりと呟いく。

そうだね、と僕はうつ向きながら答えた。


まさか、こんなに早く死ぬなんて思いもしなかった。あまりにも若すぎる死だった。
それは当然西野も思いもしなかったことだろう。


ふと、
先ほどから言葉を発さない桐田を眺めると、彼は声を殺して泣いていた。

僕は、
ポン
と桐田の肩に手を置く。


それがスイッチになったのだろうか、桐田は嗚咽を漏らし始めた。


・・・皆悲しいのだ。

男だらけの青春時代を共に過ごした仲間が死んだのだ。
ただのクラスメイトが死んだのとは訳が違った。


僕は吸っていたHOPEを足で揉み消した。

さっき間違えて買ったのだが、不味い。
だが、同時にこの何とも言えぬ哀しみが煙草を不味くしたのかもしれないな。と思いながら僕は二人のしょぼくれた野郎の肩を同時に叩く。

「なぁ、呑みに行かないかい?」


二人は無言で頷く。


焼香は済まし、一通り葬式の儀式は終わっているので後は自由。

なんとなく此処に居たくないと言う気持ちが僕の心を占めていた。そして、僕達は呑みに行くため叡安寺を後にして最寄り駅付近の街へ向かうことにした。
街に着くやいなや普段は気にならないありきたりな街のネオンに何故か苛立ちを覚えた。このきらびやかな街を呪わしくすら思った。しかし、その思いは早急に払拭し、僕達はあび屋と言う居酒屋に入ることを決めた。

入るなり

「いらっしゃいませ!」

と言う活気溢れる店員の声が店中からし、僕達は圧倒された。

この店は出来る!そう思い僕は唾を飲のむ。店を見渡すと客はそれなりに居るため繁盛しているようだ。

そんなことを考えていると、案内の女性店員に導かれ席に着く。
戻ろうとする店員に日本人のとりあえずビールと言う精神からエビスビールを3つ注文する。

エビスビール。ちょっと良い贅沢。
いや、なんでも無い。

だが、席に座ったものの僕達の席だけ無言が空間を支配する。
・・・会話をきり出せない重い空気。

しかし、それも運ばれてきた酒がそれをぶち壊す。
有難うエビスビール。そんなことを思いながら口に含む。


始めに口を開いたのは柳だった。
次第に桐田も口を開きやがて話題は西野の話になる。

「あいつ園田と付き合ってたよな?」

と言う桐田の発言で思いだす。
あぁ、そういえば西野の野郎僕がほんのり恋心を寄せていた園田真由美さんと付き合ってたんだな・・・。
Fuck!と心でシャウトした。いや、高嶺の花なのは分かってたけどさ・・・。
当時、園田は学校でも男子の糞野郎共からも狂信者が居るくらいの人間だった。それを、身近な西野が手にいれたと知った時は藁人形を作ったこともあった。

うん、今では良い思い出。

心を落ち着かせると僕はある疑問にぶち当たる。

そういえば今日の葬式に園田さんは来ていたっけ?

「へぃ、山田錦お待ちぃ!」

思考を両断する発言。

いやっほぉぉぉ山田錦ぃぃぃぃ。先程、メニューを見たら見付けたのでつい頼んでしまった。
やはり、この店は出来る!と再確認させられた。

「なぁ、聞いてるのか?」
柳が真剣な顔で言う。

嘘をつく必要はない。「ぁ、わりぃ。聞いてなかったからもう一度言ってくれ」

桐田がおいおいと言う顔をしていたが酔っていると言うことにしてスルーする。

「園田が葬式来てたんだよ」

ぁー、やっぱり来てたのか。
Fuuuuuck!!!!!

「まぁ、直ぐに帰っちまったらしいんだけどな」

そうなのか、とか。生きてるのかと柳が言っていたが俺はそれどころでは無かった。

嗚呼、まだチャンスはあるのだ、神が味方してるなこりゃ。

そんな思考が僕を駆け巡っていた。

さて、どうやってアドレス聞こうか。
そもそも何処に住んでるんだ?

そんなことをブツブツ呟いていると話題はこの世の中になっていた。

「最近の政治は駄目だぁぁぁぁ!」
とかなんとか桐田が叫ぶと、柳がなだめる。

その繰り返し。
要は大分出来上がっていた。

それから一時間位たっただろうか。その頃になると落ち着いてはいたが延々と桐田は愚痴りはじめて対応が面倒くさくなってきた頃、柳の

「そろそろ出ようか」という一言で僕達は店を出ることにした。

桐田はまだ愚痴りたかったみたいだけれどね。

僕達は酔った体をおぼつかない動きで立ち上がらせる。

やばい・・・大分酔ってる。

そんなことを思いながら僕達は会計を済ました。



扉を開け店から出る。

ふわり、ふわり、
雪が降っていた。

「どうする?」
と僕が問うと柳は

「うーん、桐田もこんなんだし解散しようか」と言ったので僕達は駅で解散した。

柳と桐田は電車を使って帰宅するらしいが僕は普段乗らないタクシーで帰ることにした。

タクシー乗り場はタクシーを利用しようと人でごったがえしていた。

人が一般居るな・・・。

その時、急にふと思ったことをぽつりと口に出す。


「園田さんハァハァ」




西野。僕は元気に生きています。



―――Fin
posted by 沖[旧名:→蒼葵遊馬] at 23:56 | Comment(2) | TrackBack(0) | ネタ帳

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